【長期金利】マイナスへ 住宅ローン金利はどうなる?
【長期金利】マイナスへ 住宅ローン金利はどうなる?
2016年2月9日、長期金利が初めてマイナスに突入しました。
ここでいう長期金利とは、10年物国債の利回りを指します。
まず基本的な知識から解説します。
国債とは、日本政府が発行する債券「国庫債券」(=国の借金)のことです。
様々な償還期間が違う債券が発行されます。
このうち、10年で返済期限が到来するものが「10年物国債」といい、この利回りを一般的に長期金利と呼びます。
その他、期間に応じて、短期国債、中期国債、超長期国債という名称が使われます。
先日導入された日銀の「マイナス金利政策」によって、長期金利が急低下しました。
マイナス金利政策とは、銀行が日銀に預ける預金にマイナスの金利(手数料)を課す政策です。
企業や個人が銀行に預ける預金がマイナスになるという訳ではありません(現時点では)。
直近まで、9年以下の国債利回りはマイナスでしたので、10年国債も射程距離に入っていました。
なので、10年国債も8日か9日にはマイナス突入か?と推移を見守っていました。
そこに到来したのが、欧州での金融機関の財務悪化懸念です。
ただでさえ、年初から世界景気の不安が高まっていたところに、ちょっとした情報で株や為替が動きます。
今回は、欧州市場で銀行株を中心に株価が大幅に下落し、それが世界市場に波及したというものです。
円高が114年台前半に急上昇し、日経平均も918円安と年初来初の下げ幅を記録しました。
世界情勢が不安定になると、お金は安全資産に逃げようとします。
国債は安全資産ということで買われ、株が売られます。
世界の投資家から、円は安全資産と位置付けられており、円が買われ、円高が進みます。
円高の影響で、また株価が下がります。
負のスパイラルですね。
お金の流れはさておいて、では、住宅ローンの金利は今後どうなっていくのでしょうか?
最近、問い合わせを頂くお客様から、この手の質問を多く受けます。
何と答えて良いのやら・・・当センターも困ります。
大方の予想通り、住宅ローン金利は下がると予想されます。
しかし、マイナス金利政策の影響で、金融機関の収益が圧迫されます。
住宅ローン金利を下げるということは、金融機関の収益圧迫要因であり、金融機関としては非常に苦しい立場に立たされます。
金融機関は、企業や個人から預金という形で資金を調達し、それに利ザヤを乗せて投資又は融資することで儲けるビジネスモデルです。
銀行間の貸出競争がありますので、調達金利が下がれば、貸出金利も下げるのは当然です。
しかし、金融機関にも固定費があります。
最低限、固定費は確保しなくてなりません。
今年に入り、メガバンク含めて、住宅ローン金利を過去最低に引き下げました。
金利の低いネット系の新興銀行に対抗するため、赤字覚悟の引き下げだと思われます。
そこへ日銀のマイナス金利政策によって、更に引き下げ圧力がかかっている状況です。
特に、調達金利や運営コストの高い地銀や信金はこれ以上の金利引下げは非常に苦しいでしょう。
メガバンクは海外からの収益が多く、国内の多少の収益減少は何とか持ちこたえられます。
ネット系の新興銀行は、そもそも店舗がなく、人も少ないので、固定費が低いため、金利競争には強いです。
よって、ネット系の新興銀行とメガバンクは、更なる金利引き下げを仕掛ける可能性があります。
一方で、店舗系の地銀、信金は、仮に引き下げるとしても、僅かではないかと予想されます。
ネット系やメガとの更なる金利差が生まれれば、地銀、信金は今以上に住宅ローンの貸し出しが厳しくなります。
固定金利はどうなるのでしょう?
フラット35の固定金利は住宅金融支援機構が決定します。
フラット35は、貸し出した債権を証券化し、投資家に売却し、資金を調達します。
証券の利回りとの関係もあり、引き下げ幅の限界はありますが、固定金利も過去最低を更新するのでは?と期待しております。
3月のフラットの金利が楽しみです。
ちなみに、フラットの適用金利は、申込み時ではなく、融資実行時の金利が適用されます。
ですので、今から申し込んでおいて、実行を3月にすれば良いと思います。
住宅ローン借り換えセンターの運営開始から3年目です。
日銀の黒田総裁が、異次元緩和を開始した時から、それに合わせてこの事業をスタートしました。
「物価目標を2年で2%達成」と宣言してましたので、最初の2年が勝負と考えてました。
ところが、既に3年目ですが、まさかここまで金利が下がり、しかも長期化するとは予想してませんでした。
この超低金利がいつまで続くのでしょう。
日銀は、2017年度前半頃に達成見込みと言ってますが、今のこの状態ではそれも難しいのでは?と思います。
物価2%達成した後、マイナス金利解除→量的緩和の縮小→ゼロ金利解除(利上げ)、といった流れで緩和を解除していくと思われます。
ですので、物価2%達成後、利上げまでは相当な期間がかかることが予想されます。
2017年4月には消費税の10%への増税があります。
消費税増税で、また景気が落ち込みます。
こうなると、物価2%達成が見えるまで増税延期・・・なんてこともあるかもしれませんね。
金融政策だけではインフレに持っていくには限界があります。
あとは、アベノミクスの経済政策次第と言ったところでしょうか。
また、最近は国内経済よりも、世界経済の動向に振り回されるケースが多いです。
ですので、日本だけが景気回復しても、為替の影響がありますので、簡単な話ではありません。
原油価格が下がり、住宅ローン金利も下がることは、消費者にとっては嬉しいことです。
未だに住宅ローンの見直しをしていない方は、このチャンスを逃さないよう、すぐに見直しをすべきです。
住宅ローンは家計コストの中で最も高く、しかも固定費です。
月々の返済が数千円でも数万円でも減れば、固定費削減になり、その分、給料が上がったのと同じ経済効果が生まれます。
借り換えで浮いたお金を、貯蓄ではなく、消費にまわしてくれれば、より経済は活性化します。
日本経済のためにも、住宅ローンの借り換えを積極的に行い、浮いたお金を消費にまわしましょう!