アパート経営でキャッシュフローを改善するための節税対策
アパート経営は空室率を下げ安定収益を上げることが大前提となりますが
それ以外にキャッシュフローを改善するための節税対策も重要となります。
またローンでアパートを購入した場合は借入金利も大きなコストとなり
元金返済部分はキャッシュフローに大きく影響します。将来の相続税対策を目的に更地にアパートを建築し、更に借入をすることで
大きな節税効果を発揮することはご存知の方は多いと思われます。
ただし、主に相続税対策を目的としたアパート建築であったとしても
きちんと出口戦略まで見据えておく必要があります。ここで言う出口戦略とは、中長期保有を前提としつつも
相続発生時には売却により財産分与する可能性や、
買い替えによる資産の入れ替えの可能性も想定しておくべきという意味です。出口戦略を見据えるとは、具体的にはよい値段で買い手がすぐに見つかる
アパートを建てる(または買う)ということです。
いざ売却となったとき、買い手候補者が多い方が競争原理が働きますので
必然と良い値段で売れる可能性が高くなります。ですので、買い手候補者を増やすには
どうすればよいか?どういう物件がよいのか?
という点を考慮しておかなければならないということになります。一般的に、中古アパートを購入される方は、現金一括で購入するよりも
ローンで購入する方が圧倒的に数は多いです。
しかし、売却時のアパートの状態により
ローン審査が通りやすいかどうかが変わってきます。
買い手候補者が数多く存在しても、ローンが通りにくいアパートの場合は
容易には成約には至りません。ということは、売却時にローン審査が通りやすい
アパートを建てる(または買う)ことが重量となってきます。買い手候補者が中古アパート購入資金を金融機関で借りようとする場合において
審査に大きく影響を及ぼすのが、建物の構造と耐用年数です。
金融機関は原則、建物の残りの耐用年数(耐用年数ー築年数)
までの期間しか融資しません。
これは土地の評価がどれだけ高くとも、アパートローンの場合
融資期間は建物に左右されるということを意味します。例外的に耐用年数を超えて融資する金融機関もありますが、
そういった金融機関はごくわずかしかありません。建物の構造別の耐用年数ですが、木造であれば22年、鉄骨造(4mm超)であれば34年
鉄筋コンクリートであれば47年というように、
構造別に耐用年数に合わせてローンの返済期間が変わります。例えば、築10年経過した木造アパートを購入しようとする場合
10年程度の返済期間でしかローンを組むことができないということになります。少し話がそれますが、耐用年数=建物の使用可能年数の目安ではありますが
実際の建物の寿命ではありません。
耐用年数は減価償却のための年数として使用されておりますが
実際は耐用年数を超えても建物は使用できます。
木造であっても定期的な修繕工事を行うことで
40~50年もつ建物も多く存在します。
しかし、金融機関の審査基準が耐用年数に合わせて画一的に決められており
個別に建物を見て残存価格を評価するということをほとんどしません。この耐用年数の問題は、中古住宅市場の活性化を目的に
政府でも見直ししようという機運は高まってきておりますが
制度変更にはまだ相当な時間がかかるものと思われます。ですので、もし将来出口戦略として売却を想定しておく場合は、
売却時の残りの耐用年数を考慮に入れておく必要があります。木造、鉄筋造、鉄筋コンクリート造のいずれが良いかは売却する時期によります。
ある程度、予算に余裕がある場合は、
長期保有を前提に耐用年数の長い鉄筋コンクリート造の
アパートがローンには有利に働きます。鉄筋コンクリート造のアパートの場合、比較的規模が大きくなりますが
5億円や10億円といった大規模な建物になりますと買い手候補者が極端に減ります。
買い手候補者が最も多い価格帯は2億円前後です。
これは金融機関がアパートローンを融資する上で比較的審査が通りやすい金額だからです。このように、アパートを建築したり、購入する場合において
将来の出口戦略も想定したうえで、
構造や建物の規模(価格)の選定をする必要があります。