離婚時の住宅ローン対策⑨

bgt


離婚・住宅ローン対策センターの望月です。

 

 

 

 

************

前回までのブログはこちら↓

************

対策① なぜ、離婚・住宅ローン対策センターに依頼すべきか?
対策② 書籍【離婚時の住宅ローン対策】目次紹介
対策③ 離婚の時に住宅ローンに関してどのような問題が発生するのか?
対策④ オーバーローンの問題
対策⑤ 連帯債務の問題
対策⑥ 弁護士はどこまでやってくれるのか?
対策⑦ 家庭裁判所の調停で合意離婚した場合は?
対策⑧ 夫名義の不動産と住宅ローンを妻が引き継ぐことができるか?

************

離婚時の住宅ローン対策】

 

 

 

 

 

 

 

*************************

離婚時の住宅ローン対策(著者:望月保秀)

(目次)
1 離婚の時に問題となる住宅ローン
2 夫名義の不動産と住宅ローンを妻が引き継ぐことができるか?
3 夫が住宅ローンを払い続け、妻子が住み続けることができるか?
4 売却して住宅ローンが残る場合で売却は可能か?
5 アンダーローンで住み続けたい場合どうすれば良いか?
6 夫が住み続ける場合で、妻の連帯債務又は連帯保証を外すことは可能か?
7 妻が住み続け夫がローンの支払いを延滞するとどうなるか?
8 離婚に伴う財産分与によって税金はかかるか?

*************************

離婚時の住宅ローン対策(著者:望月保秀)より引用

夫が住宅ローンを払い続け、妻子が住み続けることができるか?

 

自宅の不動産名義と住宅ローンは夫名義の場合で、夫は家を出るものの住宅ローンは引き続き夫が支払い続け、妻と子がそのまま住み続けるといったケースもよく見受けられます。

この場合に起こりうる問題点について検証します。

 

 

金融機関との契約上の問題

まず初めに、今、借りている金融機関との契約上の問題について検証します。

妻が連帯債務として住宅ローンに参加している場合は、契約当事者が居住している状態ですので特に問題はありません。

ところが、夫単独のローン名義の場合、妻は離婚によって夫との婚姻関係は解消されており、ローン名義である夫の立場から見ると、第三者に貸していることになります。

第三者に貸す行為は、住宅ローンではなく投資用ローンになる為、厳密に言うと金融機関の事前の承諾を得ていなければ住宅ローンの契約上は約定違反になります。

しかし、住宅ローンが遅れなく支払われており、金融機関からの通知がきちんと届いている状態であれば、金融機関は何も言ってきません。

厳密に言うと約定違反ではありますが、現実的な運用としては黙認されているという状態です。

そもそも、金融機関側がそれに気づかない、気づきようがないというのが実態だと推測されます。ですので「夫が住宅ローンを払い続け、妻子が住み続けることできるか?」の問いに対しては、良いか悪いかは別として方法としては「可能」と言えます。

 

 

夫が払い続ける可能性について

このケースで問題となるのは、夫の住宅ローンの支払いが遅れたり、支払いを中断したりといったケースです。

離婚後、数年間は払われていたとしても、夫の収入が減ったり、再婚によって生活費の負担が増えたり、自分が住んでいない住宅のローンを払い続けることに嫌気がさすことによって生じる支払意思の低下などが原因で、支払いが滞ることがあります。

厚生労働省の調査では、離婚により母子家庭になる世帯のうち46%が養育費の取り決めをしていながら、26.1%しか継続して支払われていないという調査結果があります。

養育費を住宅ローンに置き換えた場合、この調査結果が示す通り、離婚したご主人が住宅ローンを払い続けるのは2人に1人しかいない確率になります。

 

住宅ローン以外に別途養育費を負担していた場合、夫の経済的負担はかなりの金額になります。

高額所得者でない限り、生活はかなり厳しくなる可能性があります。

夫が住宅ローンの支払いを延滞し、それが数か月連続で続くと、金融機関が債権回収に動きます。

具体的には不動産を任意で売却するよう要請してきます。

それに応じない場合は、裁判所に競売の申し立てをしてきます。

任意売却にせよ競売にせよ、第三者が購入した場合、妻と子は強制的に退去しなければならなくなり、住み続けることができなくなってしまいます。

 

 

どのように処理をするのが最も理想的か?

妻と子がそのまま住み続ける場合、妻に住宅ローンを払えるだけの収入があれば、不動産の名義とローンの名義の両方を妻に変更しておくのが最も理想的です。

名義は妻に変えるが、実質的には夫がローンを負担するという形でも良いと思います。 

ただし、離婚後の養育費等の支払は2人に1人しか払い続けないという厚生労働省の調査結果が示す通り、数年後、支払が止まる恐れがあります。

万が一、そのような状態に陥ったとしても、妻自身に支払能力があれば住宅ローンは延滞せずに住み続けることができます。

なお、妻が住宅ローンの契約に連帯債務者又は連帯保証人として参加していない場合で、夫が住宅ローンの返済を延滞した場合、妻は契約当事者ではないので、夫に代わって住宅ローンを支払うことは原則できません。

この場合、夫に成り代わって、夫名義で妻が振り込んで支払うなどの方法も選択肢としてはありますが、そもそも夫の住宅ローンの支払状況を毎月把握していなければ、この方法がとれない為、現実的ではありません。

 

 

不動産の名義だけを変更したらどうなるか?

離婚時の財産分与において、慰謝料代わりに自宅の所有権は妻のものとし、住宅ローンは夫が払うという協議が成立する場合があります。

この場合、離婚協議書に従い財産分与として所有権は妻に変更し、住宅ローンは夫のまま変更しないで置いていくというような処理も時々見受けられます。

 

住宅ローンの契約において、金融機関の承諾を得ずに住宅ローン契約は夫のままで、所有権だけを妻に移転した場合、約定違反になります。

これについて金融機関は登記情報を調べない限り気づかないのですが、気づいた場合は何らかの指摘をしてくる可能性があります。

厳格な金融機関であれば、約定違反を理由に一括返済を要求してくる可能性すらあります。

夫がきちんと延滞せずに住宅ローンを支払っていれば金融機関は気づかないか、見て見ぬ振りをしてくれるかもしれません。

問題は延滞が発生した場合です。

繰り返しになりますが、厚生労働省の調査結果が示す通り、「夫がきちんと払い続けるか?」という点に大きな不安要素があり、名義変更の件は将来、忘れた頃に大きな問題として発展する可能性はあります。

なお、住宅ローンの返済が中断され、売却へと進む場合は、金融機関の同意を得ないでした名義変更の件は特に問題にはなりません。

名義が誰であろうと、金融機関の抵当権が優先されますので、いずれにせよ売却されてしまうからです。

 

 

どういった場合に名義変更しておくのが有効か?

前述したような約定違反のリスクはあっても敢えて名義変更しておく方が良いケースもあります。

それはアンダーローンの状態の場合です。アンダーローンの状態とはオーバーローンの状態の対義語で、住宅ローン残高よりも、売却価格の方が高い場合を指します。

この場合は、売却しても手元にお金が残りますので、予め、名義を変更しておくことに意味が出てきます。

仮に離婚協議書で所有権は妻にあると合意していたとしても、登記上の所有名義が夫のままだった場合、妻の知らないところで第三者に売却されてしまったら、売却代金は全て夫が手にすることになってしまいます。

 

いくら離婚協議書で妻側に権利があると合意されていたとしても、一旦、相手が手にした現金を取り戻すのは容易ではありません。

任意の話し合いで売却代金を取り戻せない場合は、弁護士に費用を払って委任し、裁判所を通じて法的手続き等で取り戻すしかありません。

それを行ったとしても取り戻せる保証はありません。

不動産名義を一部でも妻に変更しておけば、売却する場合には、必ず不動産の名義人の同意と署名捺印が必要になりますので、勝手に売却されることはなくなります。

ですので、不動産名義を変更するかどうかに関しては、こういったリスクとリターンをよく吟味したうえで行う必要があります。

 

 

不動産評価額と住宅ローン残高が均衡していた場合

不動産評価額と住宅ローン残高が均衡(ほぼ同じ金額)していた場合や、離婚時点ではオーバーローンだったとしても、数年間、支払いが継続された場合、住宅ローン残高が減り、アンダーローンになるような場合は、一定のリスクは覚悟のうえで名義変更しておいた方が良い場合もあります。

ただし、前述した通り、この場合は妻に所有権と一緒に住宅ローン名義も変更しておく方が金融機関から契約違反とは言われない為、安心です。

懸念点は、住宅ローン名義を夫から妻に変えた場合で、夫が住宅ローンを引き続き負担するという協議内容の場合、住宅ローン名義が変わってしまえば、夫の支払意思は名義が残っている状態よりも早く低下することも考えられます。

そうなると、支払意思の低下を招かないようにする為の継続的な入金管理等のスキームが別途必要になってくるのではないかと思います。

このスキームは現在、きちんと確立されたものはありませんが、債権管理回収会社や弁護士事務所などの第三者に入金管理を委託するという方法が考えられます。

 

 

 

☑自宅の不動産名義と住宅ローンは夫名義の場合で、

☑夫は家を出るものの住宅ローンは引き続き夫が支払い続け、

☑妻と子がそのまま住み続ける

というケースは結構多いです。

 

 

離婚当初は支払いが滞りなくされると思います。

問題が発生する可能性の高いのは、一定の年数が経過してからです。

 

 

良いか悪いかは別として・・・・

自分が住んでいない家のローンを払うことに嫌気が指す

という感情は経過年数とともに高くなる傾向にあります。

 

 

また、再婚する場合にも、このローンの問題が浮上してきます。

再婚相手からも解決するよう催促されることでしょう。

新たに家を買いたくとも、従前の住宅ローンが残っていたら新たに借りるのは相当年収が高くない限り、難しいと思われます。

 

 

 

やはり離婚する場合、住宅ローンの問題はその時に解決しておくべきです。

問題先送りは良いことはまずありません。

 

 

当センターに、過去ご相談頂いた事例では、「離婚後20年経過」というお客様がおりました。

もう20年も経過すると相手方との連絡が取れるのか?という問題があります。

 

そのお客様の場合は、何とか連絡が取れましたので、時間はかかりましたが解決することができました。

しかし、相手方の居住地が県外でしたので、すぐの対応はできず、手続きはかなり苦労しました。

 

面倒でも離婚の際に、住宅ローンの問題は解決すべきです。

ただ、名義をいずれかにまとめる場合、年収不足などの問題は結構あります。

こういったケースでは、離婚してから数年後に住宅ローンの申し込むをするということもあります。

この場合、数年後には名義変更をすることを想定したうえで、離婚協議書に不動産の名義とローンをどうするか?

といったことを記載したうえで、一定の期間経過後であっても、スムーズに手続きができるようにしておくことも大事です。

 

 

 

 

 

 

このブログは書籍内容に補足説明を追加して書いているので、

書籍よりも詳しい内容になります。

ただ、ブログでの解説は時間がかかりますので、先に要点をつかみたい方は

【離婚時の住宅ローン対策】

 

 

 

 

 

 

 

 

を購入いただきご一読頂ければと思います。

 

 

 

 

 

離婚・住宅ローン対策センター

 

 

 

お電話でのお問い合わせは↓

0120‐66‐2851

サブコンテンツ

このページの先頭へ

JMPP公式ブログ